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「基礎の割れ」を診断する際の8つの確認事項(その1)

2020年11月09日

「基礎の割れ」を幅だけで判断して、本当に大丈夫なのでしょうか?

基礎に関する診断依頼に限らず、通常の住宅診断(インスペクション)において基礎の割れをどのように診断しているか、診断する際のポイントなどを、数回に分けてご紹介します。

第1回は「基礎仕上げの確認」ついてです。

表面の仕上げ? それともコンクリート本体?

ひと口に「基礎の割れ」といっても、それがモルタル仕上げの表面の割れなのか、コンクリート自体の割れなのかによって、診断の意味合いが大きく異なります。

●モルタル仕上げの場合(厚みのある仕上げ)

表面の割れと、その下にあるコンクリートの割れでは、割れ幅が異なることがあります。場合によっては、コンクリートには割れが生じていないケースも。

そのため、

・割れの深さがモルタル仕上げの厚み以上かどうか

・割れが基礎の内側まで貫通していないかどうか

といった点を、深さ測定床下からの確認によって診断します。

【写真1】モルタル仕上げの割れ

※なお、基礎断熱工法が採用されている場合、表面にモルタル仕上げの割れがあっても、その下のコンクリートに割れが生じているかどうかを外部から確認するのは困難です。
このため、床下に潜り、内側からの確認が必要となります。

【写真2】基礎断熱工法のモルタル仕上げの割れ

●コンクリート打放し、または薄塗り仕上げの場合

このような仕上げでは、表面の割れがそのままコンクリートの割れとして現れるため、比較的判断しやすいです。

【写真3】コンクリート打放しの割れ

<今回のまとめ>

基礎に割れが見られた場合は、まず基礎仕上げの種類を確認し、

・「このまま判断できる割れ」か

・「他の観点からも調査が必要な割れ」か

を見極めることが重要です。

とはいえ、実際には【写真1〜3】を見比べても「どこが違うのかよく分からない」「仕上げの種類なんて見ただけでは分からない」と思われるかもしれません。

たとえば、下の写真のようにモルタル仕上げが剥落してコンクリートが露出していれば、区別は一目瞭然なのですが。

【写真4】基礎モルタル仕上げが剥落しコンクリートが露出した状態

特に、厚みのあるモルタル仕上げに割れが生じている場合は、外部からの観察だけでは判断できないため、床下から基礎内側の状態も確認することが望ましいです。

「これはモルタルの割れだから大丈夫」と軽視するのは、非常に危険です。

火のないところに煙は立たぬというように、小さな割れが基礎コンクリートの異常を示す重要なサインであることもあります。

【写真5】外観上はただのモルタルの割れに見えましたが…

【写真6】床下から確認すると、実はこのような状態でした

つづく


この記事を書いた人

ナカムラミツヨシ


ナカムラミツヨシ A型

●趣味:木工と料理(自分でイメージしたものを具現化することが楽しみです)、車のメンテナンス(30年以上前の古い車に乗っているため、調子が悪くなったら原因を調べて直すことが半分趣味のようになってしまいました)

●好きなこと:新旧問わず建築物を見ること。デザイン、仕上げ、納まりなどを見て感じ考えることが好きです。

●保有資格:一級建築士他

●仕事への想い:建物にまつわる「困った」を、持てる知識と経験で解決のお手伝いをいたします。



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