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「基礎の割れ」を診断する際の8つの確認事項(その2)

2021年02月08日

基礎の割れを幅だけで判断して本当に大丈夫なのでしょうか?

基礎に関する診断依頼に限らず、通常の住宅診断(インスペクション)において基礎の割れをどのように診断しているか、診断する際のポイントなどを、数回に分けてご紹介してまいります。

その2は「割れからの析出物の確認」です

基礎の割れ部分に析出物や変色は見られませんか?

【写真1】基礎の割れに析出物が見られる例

●白い析出物が見られる場合

水分が割れへ浸入したことにより、コンクリート等の可溶成分が表面に析出したと判断します。一般的に、エフロレッセンスや白華現象と呼ばれる事象です。

但し、エフロレッセンスはコンクリートから析出するものとは限らず、モルタル仕上げやタイル仕上げから出る場合も有るため注意が必要です。

そこで、本当にコンクリートから析出したものかをもう少し詳しく観察していきます。

 ◆割れの幅や深さの確認

 → 通水可能な幅か、コンクリートに達する深さか

 ◆仕上げが有る場合は浮きや剥離の確認

 → 仕上げ背面に通水や滞水は可能か

●錆色の変色が見られる場合

こちらは、水分が割れへ浸入したことによる鉄筋の発錆を疑います。

但し、基礎外部に錆が発生する原因は他にも考えられます。

 ◆鉄筋のかたより (かぶり厚不足)

 ◆型枠の金物 (セパレーターや番線等)

 ◆鉄筋の結束線 (鉄筋同士を結ぶ針金のようなもの)

 ◆鉄分を含むコンクリート骨材 (砂利や砂)

そこで、本当に鉄筋の錆なのかをもう少し詳しく観察していきます。

 ◆割れの幅や深さの確認

 → 通水可能な幅か、コンクリートに達する深さか

 ◆錆び発生形状の確認

 → 点状の錆か、線状の錆か

 ◆鉄筋探査機で鉄筋の位置や深さを確認

 → 鉄筋に沿った位置に発生か、かぶり厚は適切か

※鉄道周辺の建物では、割れに鉄粉が付着することによる錆汚れの場合も有ります。

<今回のまとめ>

基礎の割れから析出物が有る場合、「割れに水が入ったことを示すサイン」と判断する以外に、コンクリートや鉄筋の劣化を示す析出物」なのか、「その他の金物等副資材や仕上げに起因する析出物」かを見極めることも重要です。

つづく


この記事を書いた人

ナカムラミツヨシ


ナカムラミツヨシ A型

●趣味:木工と料理(自分でイメージしたものを具現化することが楽しみです)、車のメンテナンス(30年以上前の古い車に乗っているため、調子が悪くなったら原因を調べて直すことが半分趣味のようになってしまいました)

●好きなこと:新旧問わず建築物を見ること。デザイン、仕上げ、納まりなどを見て感じ考えることが好きです。

●保有資格:一級建築士他

●仕事への想い:建物にまつわる「困った」を、持てる知識と経験で解決のお手伝いをいたします。



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